2014年7月13日日曜日

セクハラ根絶へGO! 
   ~ 「改正セクハラ指針」施行 ~


 東京都議会や国会でのセクハラやじ問題が大きなニュースになったのはつい先日のことです。私は、この報道で性差別や性別役割分担意識の根っこの深さが露呈した形になったなぁと感じました。

 思い起こせば、「セクハラ」という略語が、新語・流行語大賞の新語部門大賞を取ったのは1989年のことでした。同じ年、日本初のセクハラ裁判が始まりました。これ以降、日本ではセクハラを職場における労働環境の問題として考えるようになり、言葉と概念が全国に広がっていきました。
 それから四半世紀が経過した今、残念ながら、この日本では何も変わってなかったのだと今回のやじ問題で改めて思い知らされました。セクハラが個人の尊厳を奪う人権侵害行為なのだという意識が薄い社会であることが悲しくてなりません。

 実は昨年、メディアではあまり取り上げられていませんでしたが、男女雇用機会均等法施行規則の一部等に改正があり、この7月1日から施行されています。いくつかある改正点の一つに、「セクシュアル・ハラスメントの予防・事後対応の徹底」があり、いわゆる「セクハラ指針」も改正されています。

 新指針では、セクハラの背景や発生要因には「性別役割分担意識に基づく言動」があるとしたうえで、(従来からセクハラに関して言われてきたことではありますが)これらをなくすことがセクハラ防止につながるのだと明文化されました。要は、セクハラの背景に「ジェンダー・ハラスメント」が存在することが盛り込まれたのです。ジェンダー・ハラスメントは直接的な性的言動ではないけれども、セクハラにつながる言動、例えば、「男のくせに」「女のくせに」「結婚はまだ?」「子どもはまだ?」というようなジェンダーに基づく偏見や差別、役割の押しつけ、固定観念が根底にあると言えます。

 先月公表の「平成26年版男女共同参画白書」によると、平成25年度に都道府県労働局雇用均等室に寄せられたセクシュアル・ハラスメントの相談件数は9,230件、そのうち女性労働者からの相談件数は5,700件(61.8%)で、全体の6割を占めています。

平成26年版男女共同参画白書より

 














 この数字は実際に相談があった件数なので氷山の一角でしょうが、職場のセクハラに苦しんでいる女性が多いことがデータで示されています。圧倒的に多いのは女性が被害者のケースです。なぜなら、ハラスメントのパワーは弱者に向かうからで、社会構造的に、女性よりも男性の方が経済力、社会的地位、組織内での序列が上の場合が多く、そこにコントロールや支配の図式ができているからです。

 セクハラは、労働権の侵害という重大な問題につながっていきます。いま、働く女性は増え続け、職域も拡大し、さらに現政権では女性の活躍促進に関する数々の取組みが行われています。今回の改正では、事業者に対して、セクハラに該当するか微妙な場合であっても広く相談対応することや、被害者のメンタルヘルス不調への対応措置も定められました。

 女性の活躍推進、就労継続支援のためにも、いまこそ真剣にセクハラ防止に取り組んでいくことが必要だと強く思います。 (新指針には「同性間のセクハラ禁止」も盛り込まれました。)
 これを機に、被害者が声を挙げやすくなること、セクハラが根絶され働きやすい職場環境になっていくことを願いたいものです。

<参考>
その他の改正→ 間接差別対象範囲の拡大、性差別指針の改正、コース等別雇用管理指針の制定

K.N