2015年6月30日火曜日

男女共同参画週間事業 「ピケティ入門」著者が語る~だれもが生きやすい幸せ社会とは~を実施しました


627日(土)、「ピケティ入門『21世紀の資本』の読み方」著者である竹信三恵子さん(ジャーナリスト、和光大学教授)を講師に迎え、男女共同参画週間事業を実施しました。

男女共同参画週間とは、「男女共同参画社会基本法」の公布・施行日である平成11623日を踏まえ、毎年623日から29日までの1週間、男女が互いにその人権を尊重しつつ喜びも責任も分かち合い、性別にかかわりなくその個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会への理解を深めることをめざします。

  当日は約130人の参加者がありその1/3が男性という、いつものすてっぷの講座と比べて男性が多い講座となりました。

  竹信さんは「ピケティと格差社会日本」をテーマに、ピケティの理論を解説しました。「20世紀前半に戦争、世界恐慌等によって、富裕層の資産が崩壊し格差が縮小した時代があった。しかし1970年代以降、持てる者の資本が膨張し、1980年代には格差が増々拡大していった」と、格差の歴史を紹介。格差を拡大する要因として「高額資産への税率の低下」「少子化と低成長」をあげました。その対策として、ピケティは「資本課税の強化の必要性」をあげ、「世界的資産課税(超富裕層に薄い累進課税をかけ低所得者層へ再分配する)」を提案しています。

では日本はどうでしょうか。人口の上位10%の裕福層と下位10%の貧困層の格差は過去30年で最大となっており、日本も格差社会に入ったといえます。さらにアベノミクスのもと、「生活保護基準の引き下げ」「介護報酬の引き下げ」「残業代ゼロ法案」「派遣法改正」等、格差を広げる施策が進められようとしています。格差社会が進めば、一人一票の民主主義の原則が富の集積によって歪められ、富める者たちは想像力を喪失し、持たざる者をより厳しい環境へと追いつめていくことになります。




 続いて竹信さんは「女性の生きづらさの根にあるもの」をテーマに、日本の現状についてデータを使ってわかりやすく解説しました。

・日本のジェンダーギャップ指数は世界104位…政治分野における女性の割合や女性管理職の割合の低さ等が反映されている。

・フルタイム男女の賃金格差…男性を100とすると、女性は約70(グラフ参照)

・単身女性の高い貧困率…2064歳の単身女性の32(男性25)65歳以上の高齢単身女性の47(男性29)19歳以下の子のいるシングルマザーの48%。

・週50時間以上の労働者の割合が世界でトップ…長時間働けない人は不利となる。








  ピケティが「格差は放置すれば拡大する」と言うように、格差は自然にはなくならず、貧困は必死に働くだけでは改善しません。人の手による介入の重要性=税による資産への介入と、適正な所得の再分配が必要となります。

  「女性が輝く社会」を実現するためには、「1日の労働時間規制と均等待遇の実現」「女性が家庭で無償労働(家事、育児、介護等)を担うことを前提にした低福祉社会の改革」「女性は父、夫が扶養するというモデルからの脱却」等が求められます。
  すてっぷの女性就労支援「地域人づくり事業」に参加し、就職が決まったお二人から「パソコンのスキルが身につき検定に合格し、自分に自信がついた」「ブランクがあっても大丈夫と思えるようになった。仕事に対する価値観が変わった」等、受講した成果について報告がありました。

H.O