2014年6月20日金曜日

すてっぷの本
桜井智恵子『子どもの声を社会へ 子どもオンブズの挑戦』(岩波新書)

6月8日にすてっぷで「しんぐるまざあず・ふぉーらむ関西9周年」の集いが開かれました。
テーマは「シングルマザーへのバッシングはもういらん」。

わたしの職場である財団は、13年度に緊急雇用創出事業として若年シングルマザーの雇用に取り組んだので、関心を持って参加しました。

講演をされた桜井智恵子さん(大阪大谷大学)のお話しは、とても刺激的で日頃からモヤモヤしていたことに「ことば」を与えてくれた内容でした。

その一つに「当事者」という言葉があります。よく「当事者」でないと理解できないとか言いますね。でも、桜井さんは「英語では party concerned」であり、一人を意味しないと指摘されました。逆に言うと、関わりを持てばだれもが当事者になれるということですね。

もう一つは、現在の社会は、若者の雇用を見ても20しかない椅子を40人で「椅子取りゲーム」をしているような社会。分断されながら一人でがんばらされて、あげく、先進国で一番自死する国になってしまったということです。

いじめの問題をみても、国際比較調査では日本の子どもたちの「傍観者出現率」の高さは群を抜く結果が出ています。このデータには衝撃を受けました.

桜井さんは、社会の状況は心構えで解決する問題ではないことも話されました。
たとえば、オランダは「子育て中は一人前に働かない」というシステムが男女とも通用する国になっているそうです(ワークシェアリングによってすべてのパートが正社員)。
だから、子育てや雇用に不安な気持ちを持たずに毎日生活することが可能になっているとのことでした。

さっそく、すてっぷライブラリーにある桜井さんのご著書『子どもの声を社会へ子どもオンブズの挑戦』(岩波新書、2012年)を読みました。                                                               本書も目から鱗。みなさんもぜひ一度読んでみてください。
H.N

 図.「傍観者」出現率の学年別推移(国立教育政策研究所・文部科学省 平成17年)